今回のコラムでは、海外生産のアパレルに掛かる輸入費用について触れたいと思います。アパレル自体の値段にはシビアになるのですが、その海外からの輸入費用について軽視したために原価計算が狂ってしまった。という話は、アパレル業界のあるある話です。
そこで、海外生産のアパレルの輸入費用について、生産国を中国とした場合の決済単価からお客様の指定地に納入するまでの流れや費用についてできる限り詳しく解説したいと思います。
目次
【契約】
【積載方法】
【輸送方法】
【日本の空港・港での作業内容・費用】
【国内配送費】
【まとめ】
【契約】
アパレルに限らず海外生産した製品の価格については、支払い通貨が$ドルなのか¥円なのかということや、何時支払うかという決済期日以外に、以下のような、
①FOB(Free on board):輸出者が商品を輸入者側が指定する船舶(航空)上に積込んだ時点で引渡の義務を契約完了、
目的地の空港・港までの運賃は輸入者が負担します。
②C&F・CIF(Cost&Fright・Cost,Insurance&Freight):商品を輸入者が指定する港(空港)までの運賃、保険(insurance)を輸出者が負担します。
の貿易取引条件があります。
簡単に言うと、②は、①に保険(かけない場合はC&F)と運賃を加えたものです。どちらを選択するかは、輸出者・輸入者の判断です。
【積載方法】
上記のような輸送コンテナ単位で貨物がまとまるかまとまらないかで積載方法が変わってきます。輸送コンテナには、大きさによって20ft(フィート)・40ftに別れます。
コンテナ単位にならない荷物は混載貨物LCL(Less than container load)といい、コンテナ単位になる荷物はFCL(Full container load)といいフルコン・CY貨物といいます。
ちなみに、20ftコンテナをフルコンFCLにするには、おおよそ33m3の荷物が乗るので、10oz半袖Tシャツの場合約16,000枚、40ftの場合は約32,000枚を乗せることができます。
コストのことを勘案すると、LCLとFCLでは港で掛かる手間が違い費用が変わるためFCLがベストと言えます。しかし、現状、多くのオーダーはFCLで輸送するほどの数量がないので、殆どはLCL貨物です。
【輸送方法】
輸送方法には COURIER・AIR・SHIPがあり、以下でメリット・デメリットなど触れていきます。
(COURIER:クーリエ)
クーリエ便は、いわゆる宅配業者です。Fedex・OCS・EMS・流通王etcなどいろいろな会社が業務を行っています。運賃は、空輸していることもあり輸送方法の中では一番高いですが、簡易通関のためスピードは他の輸送方法に比べると一番ですが、運賃が高いため、サンプルなどの少量の輸送に使われることが多いです。
(AIR:エアー)
エアー便は、各航空会社の貨物として輸送する方法です。大量に輸送もできますが、運賃がSHIPほど安くありませんが、荷物の日本に着いてからの通関作業が早く、SHIPに比べると納品までの日程が短く済みます。
(SHIP:シップ)
アパレルは、ほとんど特別なケースでは無い限りSHIPで輸入します。運送費は、上記のCOURIER・AIRより圧倒的に安く済みます。中国の港(上海港・青島港)からは、2〜3日で日本の港には着きますが、通関などの作業に時間がかかるので、船積み後10日ぐらいの日程が目安です。
(海上速達便)
これは最近できたサービスです。スピード・費用ともCOURIER、AIRとSHIPの中間ですが、1m3または200kgぐらいの貨物で費用的にメリットがでる様です。
ということで、上記3方法を、10oz半袖Tシャツ、30枚*18ケース(ケース大きさ55cm*39cm*26cm:0.056m3)540枚・総重量180kgを青島→東京空港・東京港までの費用などを比較してみます。
参考に一番下にはCYフルコンテナの料金も記載します。
・条件
中国生産
総数量540枚
18ケース*0.056m3=1.1m3
1ケース10kg=TTL180kg
為替¥115/$
発送先は、関東圏
FCLフルコンテナの場合は、枚数16,000枚
(別表1)
*COURIEはOCSの料金
*AIRとSHIPは、後ほど説明しますが別途通関料などが掛かる
*日数は、工場出荷から関東圏お客様指定地着までの日数
【日本の空港・港での作業内容・費用】
ここからは、日本の空港・港についてからの発生する費用に触れていきます。COURIEは簡易通関で一般的でないのでここではAIR・SHIPの場合を解説します。
運賃の支払い
FOBで契約している場合は、上記(別表1)の運賃は到着した空港・港で支払います。
混載LCL貨物の場合
*/BLは、1件あたり
*/m3は、m3当たりですが、ミニマムは1m3となります
フルコンテナFCL貨物の場合
この様にFCLにすると1枚辺り¥100近く輸入費用が安くなります。
納税
納税は、関税と輸入消費税の2種類を納税しなければなりません。関税は、肌着・Tシャツなどのアイテムによって違いますが、CIF価格(商品代+保険+輸送費)の7%〜13%税率を納付します。輸入消費税は、輸入における消費税で、これもCIF価格の内国消費税税率7.8%を納付します。
これらが終わると、まれに税関検査(有料)に回ることがありますが、通関作業は終わりとなります。
【国内配送費】
通関作業が終わると、お客様に指示された場所までの納品になります。この配送費は、空港・港からの距離、ケース数、などで変わりますが、そこそこの荷物の量になるとチャーター便を使ったり、FCLの場合はコンテナのまま輸送するので割安となります。
【まとめ】
以上が、アパレルを海外で生産しお客様のもとへ納品するまでの流れ・費用です。いろいろな項目があると思われたと思いますが、我々オフィス雅は、乙仲と契約し通関作業などもスムーズにワンストップで対応しておりますので、安心してアパレルの生産をご依頼下さい。
今回のコラムも最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。今後も、アパレルに関するいろいろな情報をアップしてまいりますので、これからも、何卒宜しくお願いします。
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