【アパレルOEM会社解説】円安で日本製のアパレル製品にメリットがでるのか??

皆さん、こんにちは!
2022年(令和4年)9月上旬、とうとう、為替相場が¥140/$台に入りますますの円安状況になってきました。我々、海外製のアパレル製品を取り扱うアパレルOEM・ODM会社にとっては非常に厳しい為替相場ですが、この為替相場が「日本生産に切り替える」という判断で良いのか?を考えていきたいと思います。

ところどころに2023年3月時点での状況も書き加えています。文脈がおかしくなっているとこともありますがご容赦下さい。

 今年の年初の為替相場は¥115/$でしたので、8ヶ月で¥25/$、約22%円安になったことになります。原因は皆さんも御存知のように、アメリカはインフレを抑制するために金利を上げ、泥沼の経済から抜け出せない日本は金利を上げるとより不景気になるので金利を上げられない。このアメリカ・日本の金利差で円が売られドルが買われているためです。


 この様な状況で、海外生産から日本生産に切り替える動きがでていますので、繊維業界・アパレル製品製造工程の現状を含め本当に日本製にメリットがあるのか?を考察していきたいと思います。

目次

糸・生地(テキスタイル)
2次加工
縫製
最後に

糸・生地(テキスタイル)

 まずアパレルの材料の糸・生地(テキスタイル)についてです。
 糸には、綿などの天然繊維とポリエステルなどの化学繊維があります。(参考記事はこちら、)日本で作られる綿などの天然繊維の原料の、綿花や麻、ウールなどは殆どが輸入品で、化学繊維の原料は石油なのでこれらも輸入品です。ということは日本で作っている糸も円安の影響を多大に受けています。これらの原料を糸にする工程も電気代などが円安で上がっているので影響を受けています。


 この糸を生地(テキスタイル)にする工程はどうでしょう。織物を作る織機、編物を作る編機の動力は電気です。これも糸を作る工程と同じく円安の影響を受けています。この工程で作られた生地(生機キバタ)は、染色をしなければなりません。染色するには、水・染料・蒸気・電気、染色した生地を仕上げ(整理加工)をするには蒸気・熱が必要です。石油を大量に使うボイラーが必要なので円安の影響を受けています。染料も輸入品も多いので同様です。


 以上の様に、アパレルの材料の糸・生地(テキスタイル)については、円安になったからとはいえ日本製に切り替えてメリットが出る要素はありません。
現に、2023年3月時点では2022年10月に比べると25%〜30%の値上げ要請が染色工場から来ています。

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2次加工

 次は、スクリーンプリントや刺繍などの2次加工について考察します(参考記事はこちら、)。これらも熱や電力を多く使う工程で、染料なども上の「生地(テキスタイル」と同様大きく影響を受けており、また、日本の場合は縫製工場にこれらの工場が併設されている場合はまれなので、工場間の運送費などもガソリン代が円安の影響を受けているためメリットがあるとは言えないでしょう。

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縫製

 次の縫製工程では、上記の工程と同じく電気が主な原動力なので円安の影響を同じ様に受けています。それに加えて一番の問題は人件費の問題です。なぜ、人件費が円安の影響を受けるの?と思われる方はいらっしゃると思います。

 日本の縫製工場のほとんどの工場は、海外、特に中国・ベトナム・インドネシアなどの国から実習生として日本に働きに来ている外国人の方々の労働力で成り立っています。工場で働く人員の80%が海外から受け入れている実習生という工場も少なくありません。縫製工場の場合、これら実習生の方々は大体のケースは3年間という期間で日本で働きその後一部の人は残るようですが、ほとんどの人は母国に帰るようです。日本で働いて稼いだ給料を毎月、母国に残している家族に仕送りしている人がほとんどです。日本で働いて稼いだ給料はもちろん円建てで、母国に送金する場合は日本円で送金しても不便なので、$で送金するわけです。今年になって前段でいったように22%も円安に動いているので22%給料が目減りしたことと同じことになってしまっています。例えば、今までの給料が日本円で¥90,000としたら$¥115/$の為替レートとすれば約$780、いまの¥140/$の為替レートだと$643にしかならないのです。今、働いている人の給料の目減りは仕方がないとしても(すみません。冷たい言い方ですが、、、)、これから日本に実習生として来ようとしていた人は恐らく日本で働くことを円安ということで躊躇することになっているでしょう。
 これは、繊維業界だけのことではありませんが、基本的に労働集約型の縫製業にとっては死活問題になりかねません。この様に円安の現時点でのデメリットも含め、将来的な労働力を集めることができないというリスクがあるのも現実です。

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最後に

 アパレル製品の色々な工程での、円安の影響を考察しました。要するに、急激で過度の円安は海外で生産する場合も日本製に生産を切り替えても、どちらにしてもメリットがないということを分かって頂けたと思います。
 為替相場¥130/$をこえた今年5月辺りから海外生産を日本生産に切り替えられないかとの問い合わせが増えましたが、弊社はお客様に、慢性的に労働力不足の繊維業界(特に縫製業)の実情を理解して頂き、海外生産を勧めてきました。聞くところの話では、現状、日本の縫製工場は、来年3・4月ぐらいまでキャパが埋まり、納期遅延の問題も起こりそうだという事も聞いています。このクイックレスポンスの時代に逆行する話です。
 この様に、円安ということでコストを考えると日本製に置き換えたい気持ちは理解できますが、多くの場合それほどのメリットはなく、逆にリスクがあると思うので、よくよく考えて生産国を決定する必要があるでしょう。
 2023年3月時点では、日本の縫製工場のキャパはかなりオーバーして納期遅延も問題化しているような状況で、また海外生産に回帰しているという実態です。
 
 私の肌感ではありますが、適正な為替レートは¥120/$前後です。今の円安は、かなり長引きそうですが工場にも色々な部分を協力してもらい乗り切るしかないですねと感じています。
ちなみに、このコラムを書き終えた9月9日の為替相場は¥144/$です、、、、😰

 このたびは、最後までコラムを読んで頂きありがとうございました。
これからも、繊維業界・アパレル業界のコラムを色々上げていきますので宜しくお願いします。

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